「おかしいわねぇ…」
長年つれそったご主人の葬儀で、喪主をつとめた絹代さんは不思議に思いました。葬儀と通夜は葬祭ホールでおこなわれ、「料理はすべてホール内の厨房で手作りいたします」という葬儀社にお任せしたのですが…。
亡くなったご主人は、美味しいものを食べることが大好きでした。そんなご主人が生前から言っていたのは、
「俺の最後は、みんなでうまいものを一緒に食べて、笑顔で見送ってくれよ」
ということでした。
絹代さんはご主人の遺志を継いで料理に力を入れ、ご主人が好きだったものとか、旅先で一緒に食べた思い出の味なども取り入れたそうです。
テーブルにはたくさん大皿が並べられ、色とりどりの美しい料理が並びました。食べてみると、とても味も良く、みんな「美味しいね、この料理」と喜んでくれたところまではよかったのですが…。
量が足りないのです…「確かに40人分作ってあります」と言うわりには、どう考えても足りません。あらためて料理を見てみると、大皿に盛り付けられたものばかりなので、一人あたりの正確な量はわかりません。あんかけ風のものならあんが多く具が少ない、たくさんあるように見えた料理も、上げ底の器に盛り付けられているので実際はそんなに無い、といった感じです。
料理の実質的な量は、「たぶん20人分くらいしかなかった」らしいのですが、40人分の料金に加えて「コースにはないオリジナル料理をつくった」という名目で、通常より3割増しの料金を請求されました。
ビールやジュースの料金は、「40人分」で請求されていました。その金額から逆算すると、一人あたりビール4本とジュース2本を飲んだことになります。
「こんなに飲んでいませんよ」
と言う絹代さんに対し、葬儀社側の返答は「数えてたわけじゃないでしょ?」でした。

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