葬儀

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ウェディングドレス

愛する人とお別れをするのは、本当に悲しい事です。

それでも、天寿を全うして逝く人を見送るなら、まだ、心の整理がつきます…というより、整理するための時間がいくらかある、ということでしょうか。

そんな時間も与えられず、突然、短い人生を終えることになったとき、残された人たちの悲しみは、想像を絶するものだと思います。

私たちがお手伝いする葬儀の中で、もっとも胸がしめつけられるのは、若い方の葬儀です。

親の葬儀では長男が喪主をつとめるのが一般的ですが、子供の葬儀で喪主をつとめることになったお父様の気持ちは、いかなるものか…。

K美さんは、この春、念願だった大手商社に就職し、毎日が希望にあふれた22才の女性でした。その日、いつものように家族と一緒に朝食を食べ、いつものように弟たちと冗談を言い合い、いつものように笑顔で「いってきます」と言い、出勤したといいます。

でも、笑顔のK子さんを見ることができたのは、それが最後でした。K子さんは出勤途中の事故で、この世を去ってしまったのです。

葬儀の打ち合わせは淡々とすすめられました。

お父様が「なんだかね、K美の葬式っていう実感がないんですよ」と話しておられたのが印象的でした。人はあまりにもショックが大きいと、全ての感情が消えてしまうのかもしれません。

K美さんの葬儀会場は、結婚式場と見間違うような美しさでした。K美さんが好きだったというピンクのバラを中心に、あふれんばかりの花々で装飾し、参列者の席にも、小さなブーケをたくさんあしらいました。

美容師をしているという叔母様が、K美さんの髪を結い、メイクを施し、ウェディングドレスを着付けてくれました。お棺の中で、バラの花にうもれて横たわるK美さんは、童話に出てくる<眠れる森の美女>のお姫様のようでした。

最後の喪主挨拶の中で、お父様はこうおっしゃいました。
「K美は、誰も行ったことが無い、遠い異国の地へ嫁ぐのだと思っています。もう、会うことはできません。でも、いつか私たちがそちらに行ったときには、笑顔で迎えてくれると思います。私たちは、それまで頑張って生きていこうと思います」

葬儀の役割は、故人を送るためだけのものではなく、残された人たちに、気持ちの区切りをつけるきっかけともなるのだ、と思いました。 

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